「内容を読み理解しました」による違反の処理は、スコアを回復させても記録を消しません。記録を消せるのは書類提出による取り消しだけです。次の停止に直結するのはスコアより違反の記録、なかでも繰り返し判定です。

アカウント健全性評価(AHR)全体の仕組みは柱ガイド「Amazonアカウント健全性(ヘルス)の見方と改善方法」、出品停止全般への対応は柱ガイド「Amazon出品停止(ASIN・出品権限)の解除」もあわせてご覧ください。

AHRの公開ルール

Amazonが公開しているアカウント健全性評価(AHR)の基準は次のとおりです。

  • 200〜1,000: 健全(緑)
  • 100〜199: リスクあり(黄)
  • 99以下: 健全でない(赤)=利用停止の対象
  • 減点の目安は重大度によって異なり、低2点・中4点・高8点。同じ違反を繰り返すごとに減点数は増大します
  • 過去180日間に正常に出荷した注文200件ごとに4点が加算されます
  • 未対処の違反は180日間スコアに残り続けます
  • スコアが原因で利用停止に至った場合、180日が経過しても原則として再開されません

200以上への回復に必要な件数は、事前にはわかりません。違反を1件ずつ終わらせてスコアの動きを記録して、初めて残りが見えてきます。

違反の3つの終わり方

健全性ページに表示される個々の違反は、次の3つのいずれかの形で終わります。

終わり方スコア違反の記録次の繰り返し判定
放置する減点したまま残るカウントされる
認める(「内容を読み理解しました」)回復する残るカウントされる
書類提出で覆す回復する消えるカウントされない

表からわかるとおり、「認める」と「放置」はスコアへの影響こそ違いますが、違反の記録という点では同じ扱いです。記録を消せるのは「覆す」、つまり書類提出によって違反そのものが取り消された場合だけです。

ある相談者の事例に見る記録の重さ

セラーパートナーが支援した事例では、AHRが120(リスクありの黄色帯)まで低下したセラーの健全性ページに未対処の違反が20件あり、そのうちサプリメント関連が約10件を占めていました。この中で「違反が繰り返されました」という判定が付いた違反はわずか1件でしたが、それだけでスコアが60点近く下がっていました。

この下げ幅は、次の新たな違反が利用停止に至るかどうかを決めているのが、スコアの数値そのものよりも違反の記録、特に繰り返し判定であることを示しています。1件の繰り返し判定が60点近い下げ幅を持つのであれば、記録が残る違反をいくつも抱えたまま運用を続けることは、次の1件で一気に停止水準まで落ち込むリスクを抱え続けることと同じです。サプリメント関連の違反で認証書を入手できるかどうかを調べる具体的な手順は「Amazonサプリメント出品のHACCP・GMP認証書提出への対応」で解説しています。

判断の優先順位 — 認める前にリサーチが先

違反への対応で最初に決めるべきは、個々の違反を「認める」か「覆す」かではなく、どちらを選べる状態にあるかを確認することです。優先順位は次のとおりです。

  1. 利用停止という不可逆な結果を避ける希望を残すこと。つまり、書類提出で覆せる可能性がある違反は、その可能性が残る状態のまま保つこと
  2. 認めるか覆すかを決める前に、書類を入手できるかどうかのリサーチを済ませること

注意: 「認める」処理をしたあとに、書類提出によって覆す経路が残っているかどうかは検証できていません。検証できていない経路は「無い」ものとして扱う必要があります。書類を入手できる可能性がある違反を先に認めてしまうことは、その可能性を自分で閉じる行為になります。

緊急停止ルール

リサーチを進めている途中で新たな違反が発生し、スコアが100に近づいてきた場合は、次の順序で対応します。

  1. 入手不可と確定した違反から順に、「内容を読み理解しました」で認めてスコアを戻す
  2. 書類を入手できる可能性が残っている違反は、この段階でも最後まで認めない

スコアが99以下になると利用停止の対象になるため、100に近づいた時点が対応の分かれ目になります。緊急時であっても、可能性が残る違反まで認めてしまうと、あとから書類が見つかっても覆す手段が無くなる点は変わりません。

記録表のすすめ

違反1件ごとの対応状況に加えて、スコアそのものの推移も記録に残してください。記録する項目は次のとおりです。

  • 日付・時刻
  • そのときのスコア
  • 直前に何をしたか(書類を提出した、違反を認めた、新しい違反が発生した、など)

この記録があることで、どの対応がスコアをどう動かしたかを後から確認でき、緊急停止ルールを使うべきタイミングかどうかも判断しやすくなります。担当者が一人しかいない事業者ほど、記録を残さずに対応を進めてしまいがちですが、違反が積み重なっている状況では、この記録の有無が次の判断の速さを左右します。

回復中に守ること

スコアが回復するまでの期間は、次の点を徹底してください。

  • 健全性ページを毎日1回は確認し、新しい違反が発生していないかを当日中に把握する
  • スコアが200を超えるまでは、審査が入りやすい商品カテゴリー(サプリメント・医薬部外品・ブランド品など)を新規に出品しない
  • 通常の商品の出荷・出品は止めない。正常な出荷は200件ごとに4点の加算につながります

回復は一度で終わる作業ではなく、違反を1件ずつ終わらせながらスコアの動きを確認していく積み重ねです。判断に迷う場合や、健全性ページの表示だけでは原因を特定できない場合は「Amazonアカウントヘルスサポートへの連絡方法と確認事項」も選択肢になります。すでにアカウント停止に至っている場合の改善計画書の書き方は柱ガイド「Amazon改善計画書(POA)の書き方完全ガイド」を参照してください。