Amazonのアカウント健全性評価(AHR)は、パフォーマンス指標と違反ポイントを日常的に確認し、悪化の兆候が出た時点で原因を特定して是正することで、アカウント停止に至る前に維持・回復を図ることができます。

アカウント健全性評価(AHR)とは

アカウント健全性評価(Account Health Rating、通称AHR)とは、Amazon(アマゾン)がセラーごとの出荷遅延率・注文不良率・ポリシー違反件数などを総合して算出する評価指標です。セラーセントラルの画面上では数値やステータスとして表示され、数値が悪化すると、「Amazonアカウント停止の原因と復活までの全手順」で解説しているとおり、出品制限やアカウント停止につながるリスクが高まります。AHRは一度数値が悪化しても、原因を是正すれば時間の経過とともに回復していく性質を持つ指標です。だからこそ、停止に至る前の早い段階で異常に気づき、対処することに意味があります。

スコアと違反ポイントの仕組み

AHRは複数の指標を組み合わせて算出されており、注文不良率・出荷遅延率・キャンセル率などのパフォーマンス指標に加えて、規約違反の件数がポイントとして加算される仕組みになっています。違反の種類によって加算されるポイントの重みが異なり、知的財産権侵害や真贋調査に関わる違反のような重大な違反は、通常の出荷遅延などのパフォーマンス指標の悪化よりも大きな影響を与えるとされています。違反ポイントは一定期間の経過によって軽減される場合がありますが、その間に新たな違反が重なると、想定より早く無効化の基準に近づくことがあります。

一般に、AHRを構成する要素は「ポリシー遵守」「商品の真正性」「配送実績」「カスタマーサービスの応対品質」といった複数のカテゴリーに分かれているとされています。 どのカテゴリーで悪化が生じているかによって、優先して手を打つべき業務領域も変わってきます。たとえばカスタマーサービスの応対品質が低下している場合は、購入者からの問い合わせへの返信速度や内容を見直す必要がありますし、配送実績の悪化であれば出荷体制そのものの改善が必要です。

無効化の基準

AHRのスコアが一定の水準を下回ると、アカウントが無効化(停止)されるリスクが高まるとされています。 基準に近づいている場合、セラーセントラルの通知やダッシュボード上の警告で事前に知らされることが多いため、日頃からダッシュボードを確認する習慣が重要です。出荷遅延が続いてアカウント停止に至る典型例は「出荷遅延によるパフォーマンス悪化とアカウント停止」で解説しています。すでに無効化された場合、復活までにかかる期間の目安は「Amazonアカウント復活までの期間の目安」を参照してください。

アカウントヘルスダッシュボードの見方

アカウントヘルスダッシュボードでは、次のような項目を確認できます。

  • 出荷遅延率・注文不良率・キャンセル率などのパフォーマンス指標と、それぞれの目標値
  • 現在発生している規約違反の件数と内容、対象ASIN
  • 各指標の推移(悪化・改善の傾向)をグラフ等で確認できる表示
  • 対応が必要な項目への案内・リンク

指標が黄色や赤で表示されている場合は、放置せず早めに原因を特定して対応することが、アカウント停止を未然に防ぐ最も確実な方法です。特に複数の指標が同時に悪化している場合は、単一の原因ではなく、出荷体制や在庫管理など運用全体を見直す必要があるサインと捉えてください。

注意: 「スコアを必ず即座に改善できる」とうたう第三者サービスに安易に頼るのではなく、まずは自社の運用データを確認し、事実に基づいて原因を特定することが基本です。

アカウントヘルスサポートの活用

自力での改善が難しい場合や、指摘内容が不明確な場合は、アカウントヘルスサポート(通称アカヘル)に問い合わせることができます。問い合わせの際は、該当する指標や違反の内容、すでに実施した対応を整理してから連絡すると、やり取りがスムーズになります。問い合わせの手順や確認すべき事項は「Amazonアカウントヘルスサポートへの連絡方法」で解説しています。すでにアカウント停止に至っている場合の改善計画書の書き方は「Amazon改善計画書(POA)の書き方ガイド」を参照してください。

日常的な維持・改善の方法

アカウント健全性を維持するためには、次のような日常的な取り組みが有効です。

  • 出荷リードタイムを実態に合わせて正確に設定する
  • 在庫切れを防ぎ、注文キャンセルを減らす
  • 出品前に対象カテゴリーが制限対象商品に該当しないか確認する
  • ポリシー違反の通知を放置せず、都度対応する
  • 月に一度など定期的にダッシュボードを確認する習慣をつける

これらの積み重ねが、真贋調査や知的財産権侵害の申し立てなど個別の問題が発生した際にも、アカウント全体への影響を最小限に抑えることにつながります。日頃からの記録・証憑管理も、いざというときの改善計画書の作成を助けます。担当者が一人しかいない事業者ほど、日々の業務に追われてダッシュボードの確認が後回しになりがちですが、月次の定例確認をルール化しておくだけでも、悪化の兆候に早く気づけるようになります。

健全性の維持は、一度対応して終わりというものではなく、事業を続ける限り継続する取り組みです。担当者が変わっても同じ水準で対応できるよう、確認手順を簡単なメモやチェックリストとして残しておくことも有効です。

関連する法律解説とサポート情報

知的財産権侵害の申し立てがアカウント健全性に影響している場合は、「Amazon知的財産権侵害の申し立てとretraction(撤回)の手続き」もあわせてご確認ください。出品停止に関する個別の対応は「Amazon出品停止の原因と解除方法」で解説しています。

セラーパートナーの個別サポートは2025年12月15日以降新規受付を停止しており、現在の相談窓口はB-LABコミュニティです。サポート内容は「アカウント健全性問題のサポートについて」でご案内しています。