Amazonがサプリメント・プロテインの出品で求めるHACCP認証書・GMP認証書は、製造工場が取得したものに限られます。小売業者でも取引先を経由して入手できる前提で制度が設計されており、異議申し立てで制度そのものを批判しても審査は通りません。

サプリメント・プロテイン系の相乗り出品に多く見られる違反です。健全性全体の仕組みは柱ガイド「Amazonアカウント健全性(ヘルス)の見方と改善方法」、出品停止全般への対応は柱ガイド「Amazon出品停止(ASIN・出品権限)の解除」もあわせてご覧ください。

なぜ「小売だから入手できない」という主張が通らないのか

Amazonから製造工場のHACCP認証書・GMP認証書の提出を求められたとき、次の3つの理由から異議申し立てで押し戻すことはできません。

1. Amazonの出品条件は法律ではなく契約上の条件である

法律とAmazonの出品規約は別次元の話です。Amazonは出品契約の当事者として、法律より厳しい条件を課せます。ポリシーページにも法令・規制の解釈にAmazonが回答する立場にないと明記されており、法律論を根拠にした異議申し立ては審査で評価されません。

2. 「小売業者は入手できない」という事情は想定済みである

AmazonのFAQには「自社で製造していない商品の認証書はどこから入手するか」という項目があり、回答は「取引先経由で製造工場の認証書の写しを入手して提出する」です。小売業者が認証を持たないのは想定内の事情として扱われ、これを理由にした異議申し立ては却下されます。

3. HACCPは「実施の義務」であって「認証の義務」ではない

食品衛生法で義務化されたのはHACCPに沿った衛生管理の実施であり、認証取得ではありません。国のHACCP認証制度は無く、JFS・FSSC22000・ISO22000はいずれも任意の民間認証で、GMPは法律上の義務ですらありません。誤って書くと事実誤認を指摘され、信頼性を落とします。

Amazonが受理する書類の組み合わせ

要件認証書で満たす場合認証書以外で満たす場合
HACCPHACCP認証書実施が確認できる資料(小規模事業者は簡易な資料で可)
GMPGMP認証書なし
HACCP・GMPの代替ISO22000/FSSC22000/JFS-B/JFS-C/SQF level 2/BRC Global Standard Version 8/IFS Food/PrimusGFS/China HACCPのいずれか
CoA(分析証明書)登録検査機関等発行、3年以内・最終製品の検査結果(商品ごと)
成分表示パッケージの成分表示情報(商品ごと)

ISO9001・ISO14001や、販売会社が独自に作成した事情書・証明書は代替になりません。GMPは法律上任意ですが、Amazonは「HACCPおよびGMPの両方」を明文で要求しており、任意かどうかは審査に関係しません。

対応手順

入手できるか分からない段階で認めると、あとから書類が見つかっても取り消せません。次の順序でリサーチを済ませてください。

A. リサーチ — 認証書を入手できるか調べる

  1. 違反一覧を確定する: 健全性ページの「規約の遵守」で未対処の違反を数え直し、サプリメント系ASINを商品名・製造工場・減点目安の記録表に書き出します。減点が大きい違反から着手します。
  2. 製造工場を特定する: Amazonが求めるのは製造工場の認証で、販売会社の認証や事情書は受理されません。パッケージの「製造者」「製造所」欄から工場名を割り出します。製造所固有記号のみの場合は消費者庁のデータベースで調べます。手元に商品が無ければ画像裏面やメーカー公式サイトを確認します。
  3. 公開リストで認証の有無を確認する: 代替資料が無いGMPから先に調べます。GMP認定工場一覧はJHNFA・JIHFS、JFS-B・JFS-CはJFSM、FSSC22000はFSSC財団検索、ISO22000はJABの認証組織検索や各認証機関の登録リストで確認できます。自治体のHACCP認証は受理可否が未確認です。メーカー・工場公式サイトの認証ページも有効です。
  4. 入手可能性を判定する: 「高」=工場を特定でき、代替認証またはGMP・HACCP双方の認証が公開情報で確認できた。「中」=工場は特定できたが公開情報が片方のみ、または見つからない。「なし」=工場が特定できない、またはメーカーに確認しGMP・代替認証とも無いと分かった場合です。小規模メーカーというだけで「なし」とは判定しません。

B. 依頼 — メーカー・仕入先に認証書の写しを求める

判定が「高」「中」の商品から、メーカーまたは仕入先に認証書の写しを依頼します。Amazonのポリシーページを示し「Amazon出品審査のため」と用件を明示し、減点が大きい商品から先に送ります。依頼文には会社名・氏名・商品名、書類提出を求められている旨、必要書類(HACCP認証書または実施確認資料、GMP認証書、代替認証、可能ならCoA)、写し(PDF)の依頼、審査提出以外に使わない旨、栄養補助食品ポリシーのURLを盛り込みます。1週間返答が無ければ一度だけ再送し、それでも無い・断られた場合は「入手不可」で確定します。

C. 提出 — 認証書が入手できたら「書類を提出」で覆す

認証書が入手できた商品は、「内容を読み理解しました」を選ぶ前に「書類を提出」のルートから提出します。認めた後にこの経路が残るかは未検証です。提出するのはHACCP側の資料、GMP側の資料(または代替認証1点)、CoA、成分表示です。同じ製造工場の他ASINには同じ認証書を使い回せます。CoAと成分表示は商品ごとに必要です。提出後は、違反が記録ごと取り消されたかを健全性ページで確認します。

D. 確定 — 入手不可が確定したものだけ認める

入手不可と確定した違反だけを、「パフォーマンス」→「アカウント健全性」→「規約の遵守」から開き、「内容を読み理解しました」で送信します。スコアと時刻を記録し、出品情報の削除だけでは戻らない点に注意してください。可能性が残る違反はリサーチ前に認めないでください。判断の優先順位は「Amazonアカウント健全性、違反の3つの終わり方」で解説しています。

やってはいけないこと

  • 入手できる可能性が残っている違反を、確認を終える前に認める
  • 「小売業者は入手できない」「法律上開示義務がない」といった制度批判を含む異議申し立てを行う
  • 販売会社が独自に作成した事情書や証明書を、製造工場の認証書の代わりに提出する
  • ISO9001・ISO14001を代替認証として提出する
  • 「HACCP認証の取得が法律上の義務である」という誤った前提で説明する
  • リサーチをしないまま放置する(減点は180日間残り、緊急時の判断もできなくなります)

回復後に守るルール

一度この対応を経験したら、仕入れ基準そのものを見直してください。サプリメント・プロテイン系は、製造工場のHACCP・GMP認証書の写しを事前に入手できる商品だけを仕入れます。入手できない商品は利益が見込めても対象から外すことが、再発を防ぐもっとも確実な方法です。