無在庫(ドロップシッピング)販売でAmazonの真贋調査を受けた場合は、仕入証憑の確保が最大の課題になりますが、取引記録を遡って請求書を入手し、業務改善を示せれば対応は可能です。

真贋調査全般への対応の流れは、柱ガイド「Amazon真贋調査(Verification of Authenticity)への対応ガイド」で解説しています。

無在庫販売が真贋調査で不利になりやすい理由

無在庫販売は、注文が入るたびに仕入先を選定して発送する仕組みのため、販売した商品一点一点について、後からどの仕入先から仕入れたのかを特定しにくいという構造的な弱点があります。仕入れ時にまとめて請求書を保管する習慣がない場合、真贋調査の通知を受けてから慌てて仕入れ記録を探すことになりがちです。

複数の仕入れ先を並行して使っている場合、対象ASINをどの仕入れ先から、いつ仕入れたのかという対応関係自体があいまいになっていることも珍しくありません。まずは販売履歴と仕入れ履歴を突き合わせ、対象商品の仕入れ経路を一本化して整理することから始めてください。焦って作業すると突き合わせのミスにつながるため、落ち着いて時系列で確認しましょう。

仕入証憑を確保する方法

まず、対象ASINを過去にどの仕入先から仕入れたのかを、注文履歴や取引メール、決済記録から特定します。仕入先が特定できたら、当時の取引に対応する請求書の再発行を依頼してください。依頼の際は、取引時期・商品名・数量をできるだけ具体的に伝えると、仕入先側も過去の記録を照合しやすくなります。

仕入先がフリマアプリ等の個人間取引の場合は、正式な請求書を入手できないことが多く、対応が難航しやすい点に注意が必要です。この機会に、請求書を発行できる卸売業者やメーカーとの直接取引に仕入れルートを切り替えることも、中長期的な対策として検討する価値があります。取引先が海外の卸売業者である場合は、インボイス(Invoice)が請求書に相当する書類になりますが、宛名や数量の記載が日本の商習慣と異なることがあるため、必要な項目が揃っているかを個別に確認してください。

日本アカウント・米国アカウントでの違い

日本国内向けのアカウントと、米国など海外向けのアカウントでは、アマゾンが求める書類の考え方自体に大きな差はありませんが、審査担当者とのやり取りが英語になる、提出フォームの項目が異なるといった実務上の違いがあります。翻訳を挟むことで説明のニュアンスが変わってしまわないよう、根本原因や是正措置は簡潔で具体的な文章にまとめることをおすすめします。

改善計画書で示すべき業務改善のポイント

無在庫販売を継続する場合は、仕入先を一定数に固定して継続的に請求書を保管する体制や、出品前に仕入れ経路を確認する社内ルールなど、次回以降は請求書をすぐに提示できる仕組みを改善計画書に盛り込むことが有効です。在庫を持つ販売方式へ切り替える場合は、その方針転換自体を予防措置として説明してください。

いずれの場合も、「今後は気をつける」という抽象的な表現ではなく、誰が仕入れ記録を管理し、どのタイミングで請求書を保管するのかという具体的な運用ルールとして書くことが重要です。

真贋調査を未然に防ぐための仕入れ先選び

無在庫販売そのものを続ける場合でも、仕入れ先の数をむやみに増やさず、請求書の発行に応じてくれる卸売業者やメーカーとの取引を軸にすることで、真贋調査の通知を受けたときの対応負担を大きく減らせます。新しい仕入れ先を追加する際は、事前に請求書を発行できるかどうかを確認しておく、といった小さな習慣の積み重ねが予防措置につながります。仕入れ先ごとの請求書発行可否や連絡先を一覧にまとめておくだけでも、いざ真贋調査の通知を受けたときの初動が大きく変わり、対応にかかる時間も短縮できます。

やってはいけないこと

  • 仕入先と連絡が取れないことを理由に、他の取引の請求書を流用する
  • 存在しない仕入先の名前で請求書を自作する
  • 真贋調査を無視し、期限を過ぎてしまう

これらの対応は、アカウントの回復を難しくするだけでなく、権利者との間で紛争化した場合には不利な事実として扱われる可能性があります。紛争に発展しそうな場合は、自己判断で交渉を続けようとせず、弁護士・弁理士等の専門家と連携して対応することをおすすめします。

請求書以外での真正品の証明方法は「真正品であることの証明方法」でも解説しています。